COLUMN

日刊サン「教育コラム」

お茶の水女子大学教授で言語学者の外山滋比古氏は、子どもの「こころ」を育み「知能」を育てるのはことばであると言われています。子どもの心を豊かにするには、豊かな気持ちのこもったことばで話しかけてあげること、そして話すことばをしっかりしつければ、賢くなりよい心も育つことになります。
では具体的にどのように接すればよいのでしょうか。

1,お母さんは「母乳語」(具体語)で、ゆっくりと自然に話しかける

子どもは最初母乳語を習得し、それから離乳語(抽象語)の双方が習得されたところで『子どもの心』が生まれる。三つ子の魂である。

2,具体語の母乳語から抽象語の離乳語への移行

*母乳語(具体語)・・・見ることも触ることもできることば。犬と言ったら、そこに“犬”がいなくてはいけない。
*離乳語(抽象語)・・・見ることも触ることもできないことば。頭の中で解ることば。
フィクション、物語、新しい思想、発見など、離乳語をしっかり教える。昔話やおとぎ話を毎日きかせること!

3,アルファー語(具体語)からベーター語(抽象語)への転換がきめて高度の知的作業である

*幼稚園では、ベーター語(抽象語)をしっかり身に付けさせる。それには、よく大人の話をきく訓練が大切である。耳でベーター語(抽象語)をしっかり聞き分けられるようにする。聞いた話が理解できるようにすると記憶力が強くなる。

4,小学校への入学

*具体語から文字を読むことを始める。2~3 年かかる。次に抽象語のことばを読めるようにする。
*具体的言語の理解から抽象的言語の理解へ移行するのは、たいへん困難を伴う。移行期の子どもに物語などフィクションの文章を読ませる。同じ文章を繰り返して読む。
*反復音読していると、自から抽象語ができるようになる。具体語から抽象語への切り替えの方法として優れている。

5,バイリンガリズムは幼い子にとって負担である

子どもは母のことばで育てなくてはならない。母語がわかるようになってから外国語を始めても、遅すぎることはない。

引用:外山滋比古 著「頭のよい子はことばで育つ」

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