新しい学年の始まりに

~ 向学心に燃える子供たち ~

それぞれの長い夏休みも終わり、現地校に通う子供たちは学校生活がスタートしました。今年から初めて“学校”という場を経験する子供、進級した子供さまざまですが、みな向学心に燃えています。初めて出会う先生やクラスメートとの学校生活は、不安も入り混じった期待感でいっぱいでしょう。
有意義な1年間を過ごさせるためにも、教師と保護者が一体となって応援してあげることが大切です。まず夏休み中の不規則な生活習慣を立て直しましょう。早寝早起の励行、一日の始まりに朝食はしっかりとらせてあげて下さい。
これからの1年間お世話になる先生とのコミュニケーションも重要ですね。機会があれば「私は・・・・の母です」と言って挨拶はしておきましょう。しばらくするとクラスのボランティアを募ってきますから、できる範囲でお手伝いするとお子さんの様子も見ることができますし、先生とも親しくなることができます。そしてクラスメートとも仲良くできるように、課外での交流にも努力してあげて下さい。
日本人の方々が多く居住する地域の学校では、日本人子女だけで固まってしまう傾向がありますが、ぜひいろいろな国の子供たちと交われるよう環境づくりをしてあげましょう。言葉が不十分でも、小学生以下であれば何とか遊ぶものです。会話は、どうしても使わなければならない状況に追い込まれないと上達しません。英語を介して遊ぶことは、英語力をつけるための第一歩といえます。
もう一つ、日本人子女同士の“ヘルプ”の問題も見逃せません。1クラスに4,5人の日本人子女が在籍している学校もあります。日本から転入して間もない英語を理解していない子供に対して、すでに数年学んでいる子供が通訳を含め、いろいろ教えてあげる役を担います。「お互いさま」という精神が大切なのですが、心遣いを忘れないように。お世話になっている側は、相手のお母さんに「いつも有難うございます」と一言お礼を述べましょう。そしてできるだけ負担をかけないように、自分自身で努力するようにお子さんに伝えてください。
お世話係のお子さんは、たいへん負担になるケースもあります。自分自身も新学年になり新しいことを学んでいかなければなりません。余裕がない上に、クラスメートの面倒もみなければならないのです。担任の先生には理解していただいた方が宜しいでしょう。
夏休み中、日本語にどっぷり漬かっていた子供たちの英語力は大丈夫でしょうか?学力をつけるには、言語能力を伸ばすことが基本ですから、母国語も含め育てていかなければなりません。

 

母国語力を土台に英語を習得していくという論理からも、二言語生活の厳しい環境は避けられませんね。子供たちにはできるだけ日本語を効率的に学んで欲しいと考えています。日本の教科書を使用して日本語で学習するのと、日本語を学ぶことは違いますから、その点を理解されてお子さんに合った日本語教育をお考え下さい。
短期滞在の子供は、近い将来再び日本で教育を受けることになるわけで、日本語力を高めておかなければならないという目的があります。しかし長期滞在を予定している子供の場合、なぜ日本語を学ばなければならないのか、という目的が設定されていないため、小学生で挫折するケースが多くなっています。親と会話できる程度の日本語力でよいのか、読み書きができるところまで求めるのか、保護者の方の教育方針が問われるところです。そして両者共に英語で学んでいる子供たちへの後押しができる『日本語教育』が望まれます。
新しい環境で、子供たちは目を輝かせて学び始めています。知識欲旺盛な将来ある子供たちはいま向学心に燃えています。この1年に大きく飛躍してくれることを心より願っています。