子どもに大切な生活のリズム

~ 毎日の繰り返しから学ぶ ~

 子どもは、「ことば」はもちろんのこと、しつけや生活習慣なども毎日繰り返すことによって身に付けていきます。その繰り返しは「こころの安定」にもつながりますので、とても大切なことです。生活のリズムを作ってあげることはご両親の大切な役割とお考えください。
今回は「生活習慣と学習」、「プリスクール」、そして「日本への一時帰国」について取り上げてみます。

1)生活習慣と学習 
まず成長期の子どもに大切なことは、睡眠をたっぷり取らせることです。そして早寝、早起きの習慣をつけさせましょう。朝ご飯も、毎日しっかり食べさせてあげてください。学校生活の中で学習したり身体を動かしたり、大変なエネルギーを使いますから、朝の食事は重要な一日のエネルギー源になります。宿題やお稽古ごとの練習は時間を決め、必ずその時間にできるように仕向けてあげてください。読書もしかり、一旦、習慣がつけば後が楽になります。
心と身体が健全に育つことにより、学習にもよい影響を与えます。ぜひ睡眠と食事のリズムは正しく取るように気をつけてあげましょう。

2)プリスクールについて 
折角アメリカに居るのだから、現地のプリスクールに入れて英語を身に付けさせたい。しかし日本語も心配・・・。このような考えからか、日本の幼稚園に週3日、現地のプリスクールに週2日の割合で通わせているご家庭が多いですね。これはアメリカ在住日本人の方の特殊なケースではないでしょうか。
この発想は、ご家庭の教育方針が見えないばかりか、「子どもは毎日同じ繰り返しから学ぶ」という観点からすると、少々疑問を感じます。毎日同じ場所へ通い、先生や友だちとコミュニケーションをとる、きょうやり残した“お仕事”は、あした完成させる・・・というような園生活のリズムが、満足感や達成感にもつながるわけで、とても重要なポイントでしょう。
一方、「こころ」の問題に触れたとき、毎日行く場所が違い、先生も友だちの顔も違うという状況は、海外で生活することすら不安な状態でいる子どもの心に、追い討ちをかけるものと言わざるを得ません。
現地のプリスクールに入れられたからといって、英語が身につくわけではありません。また日本の幼稚園に入れているから「日本語は大丈夫・・・」ではないのです。ご家庭でご両親が、どれほどの意識をもってお子さんの教育に関わっているかなのです。教育機関に入れておけば何とかなるものでは決してありません。

きょうは日本の幼稚園だから安心、あしたは現地のプリスクールだから不安、この繰り返しだけは避けてあげたいですね。

3)日本への一時帰国
日本への一時帰国もおじいさん、おばあさん、親戚に会い、心和ませることができる大切な時間かと思います。しかしながら滞在があまり長いと、子どもの生活のリズムが崩れ、建て直しに時間を要することになりかねません。
日本では、周りの人たちから大歓迎され、“お客さま”として生活するわけですから、これは心地よいですね。しかし躾の面や生活習慣においては、あまりよい環境とは言えなくなる可能性があります。またお子さんによっては、里心がついてしまい、アメリカに戻ってくるときに苦労したというケースもあります。
幼児期のお子さんほど、毎日の生活のリズムを大切にしなければならないのですが、一ヶ月も滞在しようとお考えの方は、幼いお子さんを持ったお母さん方に多いのです。日本に滞在中は、周りの方にご協力をいただいて、できるだけ規則正しい生活や躾ができるよう心がけてみてください。
お子さんの規則正しい生活のリズムをつくり、実行させる努力を惜しまれませんように。